キノコは放射能物質を吸収・蓄積しやすいといわれています。キノコ入門講座では福島原発事故以来、観察会を実施したフィールドの空中、地中、きのこの放射線量を測定してきました。2017年に放射線量を測定できたきのこは10種ほどありましたが、なかで、ショウゲンジ273Bq/kg、イッポンシメジ類348Bq/kg、キナメツムタケ118Bq/kgなどに大きな値が見られ、事故で飛散した放射能物質が生態系の循環過程に取り込まれていることが推察されるとのことでした。 解説する長谷川さん→
分子系統分類による新分類におけるハラタケ科には、旧分類のハラタケ属やキツネノカラカサ属などの9属に、旧ヒトヨタケ科のササクレヒトヨタケ属、旧腹菌亜綱のホコリタケ属やチャダイゴケ属などが加わり、17属を擁す多様なグループとなりましたが、これらバラエティーに富んだキノコの特徴をユニークな視点で整理し、分かりやすく解説されました。
解説する木原さん→
チャウロコタケ ツヤウチワタケモドキ アラゲカワラタケ
傘の表面と裏面(上)、傘の断面(下)
3月のキノコセミナー
3月17日(土) 方南共同ホール 参加18名
きのこの同定に挑戦
「ハラタケ科のキノコ」「キノコと放射能」
「サルノコシカケクイズ1」
キヌカラカサタケ属の ハラタケ属の ノウタケ属の
コガネキヌカラカサタケ ザラエノハラタケ ノウタケ
サルノコシカケ類のきのこの肉眼観察による同定では、発生状況、きのこの型、傘の表面、傘の裏面、傘の断面、胞子紋などが判断基準になり、それらの特徴の観察が必要になるということで、これらの観察法の解説の後、用意された12種の標本をルーペとナイフを使って、受講生の皆さんが観察と同定に取り組まれました。初めての挑戦に戸惑うかたもおられましたが、その成績は皆さんなかなかのものということでした。
昨年の「腐生菌4科入門」に続く、木原さんの「ハラタケ類のキノコ」では、ハラタケ類の腐生菌でもっとも種類が多様なハラタケ科のキノコ43種が紹介されました。長谷川さんの「キノコと放射能」では、キノコ入門講座とキノコ入門講座スタッフが講師を担当している市民講座で実施している観察会の各フィールドでの空中線量の測定値が紹介されました。大舘さんの「サルノコシカケクイズ1」では、サルノコシカケ類の肉眼観察の要点の解説があった後、サルノコシカケ類のきのこの標本12種の同定に、参加者の皆さんがチャレンジされました。
また今回は、空中線量の分布が地図上に記録した形で報告されました。都内及び近県の公園での記録でしたが、全体として、事故以来その値はかなり下がってきていますが、地域による違いや、同じ公園内でも地形によって異なるなど、新たな事実も報告されました。