キクラゲやアラゲキクラゲなどのキクラゲ類のキノコは通年で見ることができるが、この時期でないと見られない種がいくつかある。ヒメキクラゲもそのひとつで、落ち枝や枯れ木の枝などに張り付いている。幼時径5~10㎜の灰黄色の円盤状に生じるが互いに融合し、やがて青黒い盤状に広がる。
Exidia glandulosa (Bull.) Fr.

 タマキクラゲもこの時期によく見られるキクラゲ類のキノコで、前種同様落ち枝や枯れ木の枝一面に発生する。やはり径10~20mmの円盤状に生じるが、色は淡黄褐色で、融合はしない。
Exidia uvapassa Lloyd
 春に多く見られるきのこのなかで、まず取り上げられるのがチャワンンタケ類で、なかで、椿の花が散り始めると、落ちた花びらの間に小さな姿を見せ始めるのがツバキキンカクチャワンタケだ。径10~20㎜の盃形の子のう盤の基部から根性に伸びた菌糸束は、椿の花びら中にできた菌核に連なっている。

Ciborinia camelliae L.M.Kohn
 
 この時期桑の樹下を探すと、妙な形のチャワンタケが見つかる。子のう果が槍の穂先のような形で8~15×4~6㎜、その基部からは前種同様菌糸束が伸び菌核に連なる。キツネノヤリタケである。
Scleromitrula shiraiana (P.Henn.) S.Imai

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 第1回キノコZoomセミナー
 2月23日(日)参加10名
「きのこは花」 講師 大舘 一夫
「春のキノ コ」 講師 池田 順子
 第2回キノコZoomセミナーは、第1回に引き続いて大舘さんの「キノコとは」の2回目「キノコの本体は菌糸」と木原さんの「夏のキノコ」です。多くの皆様の参加をお待ちしております。



 この時期、ハラタケ類のきのこを見ることは稀だが、それでもこの時期ならではという種が何種類かある、エノキタケはそのひとつで、しかも近くの公園でもよく見かけることがある。粘性のある褐色の傘は径2~6㎝程で、細長い柄は黒く微毛で覆われビロード状。市販の栽培種とは同じ種とは思えない姿をしている
Flammulina velutipes (Curtis:Fr.) Singer

 ゴールデンウィークの頃、近くの公園の梅園へ行ってみよう。運が良ければ、ウメハルシメジの群生に出合えるかも知れない。傘は円錐形から中高平らに開き灰褐色で、ヒダは白から肉色になる。やや小麦粉臭がする。
Entoloma sepium (Noulet & Dass.) Richon & Roze
 子のう菌の胞子は 茶碗型のきのこでは子のう盤という茶碗の内面にある子のうの中で作られ、その表面に多数の小さな子のう盤があるアミガサタケ型のきのこでは、それぞれの子のう盤上の子のうで、また、腹菌型のきのこではその内部にある子のうで作られる。子のう中で胞子ができるので子のう菌という。
上左:茶碗型のフジイロチャワンタケモドキ
上右:アミガサタケ型のアシボソアミガサタケ
下左:腹菌型のイボセイヨウショウロ
下右:子のうと子のう胞子
 今年のキノコ入門講座もキノコZoomセミナーでスタートしました。第1回では大舘さんの「きのこは花」と池田さんの「春のキノコ」の講義があり、「きのこは花」では、私たちが日頃見ているきのこは、キノコという生き物の花の部分で、そこでは胞子を作り散布して繁殖をはかる生殖器官であること。また「春のキノコ」では、ハイシーズンの夏や秋とは一味違う春のキノコの数々が紹介されました
 サルノコシカケ類の多くは通年で観察することができるが、この時期にはそれらの幼菌を見ることができる。なかで、ベッコウタケの幼菌はこの時期目立つ姿で現れる。不定形で大きさもまちまち、最初に現れるのは傘の表面部分で、鮮黄色のその色は目を引く。やがて表面には縁を残してべっ甲色が広がり、裏には管孔が形成される。Perenniporia fraxinea (Bull.:Fr.) Ryvarden



子のう胞子
子のう
 担子菌の胞子は、傘と柄のある帽菌型のきのこでは、ヒダや管孔の表面にある坦子器という細胞で作られ、類球形の腹菌型のきのこでは、きのこの中にある坦子器上で作られ、いずれも坦子器上で胞子ができるので担子菌という。 

上左:帽菌型のツキヨタケのヒダ
上右:帽菌型のキノボリイグチの管孔
下左:腹菌型のオニフスベ
下右:坦子器」と胞子:


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